司法書士とくの日記(ブログ)

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得たいの知れない後見人

「こんなはずじゃなかったのに」
(考えていたのとちがう)


施設に入っている父親が痴呆症のため
家庭裁判所に後見の申立をされた方。
後見人候補者として親族(姉)を
かかげていたにもかかわらず、
弁護士の第三者後見人が選ばれた。


家庭裁判所は、被後見人(父親)のために
望ましいと考えられる後見人を選ぶ権限があり、
申立人が後見人候補者としてかかげていた
親族が必ず後見人に選ばれるとは限りません。


親族間に対立があるとか、
財産が高額、また管理や処分につき
専門的な知識が必要とかいう場合、
弁護士や司法書士などの第三者後見人が
選ばれたりするケースがあります。


「こんなことなら申立しなかった」
「弁護士費用がかかる」
要するに、得たいの知れない弁護士が
やってきて父親の財産を管理することに
不安と不満があるのである。


この選任に対して家庭裁判所に文句が言えるか。
これはできないということになっている。
家庭裁判所の後見人選任については即時抗告ができない
(選任の不当を理由にすることができない)。
(後で解任の請求はできるがこれはむずかしいだろう)


それでは取下げ(申立をやめる)ことはできるか。
これは、一応、その審判が確定するまでは
できることになっている。
しかし、被後見人の保護のため、
取下げについて一定の制限を設けるべきという考え方もあり、
法改正の議論でその考え方が取り上げられている。


ケースバイケースだが、
こういうことを知らずに申立をした親族が、
見ず知らずの(親族にとっては得体の知れない)
三者後見人(弁護士、司法書士など)が
選ばれたことについて
不安・不満が生じる気持ちは理解できる。
しかし、被後見人のため、それが望ましいのであれば、
理解してもらわなければならない。
後見人に選ばれた弁護士は、親族とも信頼関係を
築いていかなければならず、大変だと思った。
(難、ありがたしの精神)