司法書士とくの日記(ブログ)

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民事再生(個人)のメリット

相談者
「住宅ローンを支払っている自宅があるので、
民事再生とかいう手続をしたいのですが」
「住宅ローン以外の借金を5分の1にできると聞いたので・・・」


年配の男性で、
住宅ローン以外に、銀行、カード会社、消費者金融
総額800万円ぐらいの借金がある。
病気と失業による生活苦が原因である。
失業する前の安定した収入があった頃に
つくってもっていたカードを利用した借入。
近年の借入が多く、
また、利息が利息制限法内の銀行系の消費者金融が多く、
利息制限法の再計算であまり減額が見込めない事案。
自転車操業で返済を続けてきたが、
今般、年金がもらえるようになったことと、パート勤務の収入
を得ることができるようになったので整理したいということ。
自宅はどうしても確保したいということである。
借金が5分の1になれば、なんとか3年で返済できるだけの
収入はあるということである。


しかし、よくよく聞いてみると、
住宅ローンは長年の返済により、残高がかなり減っている。
住宅ローン残高は500万円ぐらい。
その自宅の時価は・・・1500万円以上はある。


ということは、仮に自宅を売却した場合、
住宅ローンを差し引いても(単純に計算して)
約1000万円ぐらいの現金が手に入る。
この方には、1000万円ぐらいの財産があるということである。
この場合、仮に民事再生が利用できたとしても、
(自宅は確保できても)
銀行、カード会社、消費者金融の借金800万円は、
全額返済しなければならないということになる。
5分の1にはならないのである。


確かに、おおざっぱに言えば、
民事再生(個人)で住宅ローンの特則を利用できれば、
住宅ローンはそのまま支払いながら(自宅確保)、
他の借金を5分の1(最低100万円)にできる(それを3年で返済)。
しかし、もう一つの要件、
その人がもっている財産分は返済しなけらばならない
という清算価値保障というものがあり、それを満たさなければならない。
800万円の借金、財産が1000万円あれば、
返済額は全額の800万円になってしまう(それを原則3年で返済)。


長年住宅ローンを返済し、住宅ローン残より、
自宅の価値が大きくなり、その差が借金額と同額以上になった場合、
民事再生をするメリットがほとんどなくなってしまうのである。


http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20080520
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20080529
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/minnjisaisei.htm
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/konnanjirei.htm