司法書士とくの日記(ブログ)

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民事再生(個人版)について

民事再生の個人版(特則)には、
給与所得者等再生と小規模個人再生があります。
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/minnjisaisei.htm


最近、給与所得者等再生を申立てたところ、
なんと、事件番号が1番でした。
給与所得者等再生の申立が少ないことがわかります。


(小規模個人再生と比べ)
給与所得者等再生のメリットは、
再生計画につき、債権者の決議が不要となる点があります。
しかし、デメリットもあり、
もともと収入の変動幅が少なくないと利用できず
(定期的な安定収入が必要)、
また、可処分所得要件というものが加わるため、
(一人暮らしや夫婦のみなど)扶養親族が少ないと
この可処分所得が高くなってしまい、弁済しなければならない
額が増えてしまう場合があります。
逆に言えば、給与などの定期的な安定収入があり、
扶養親族が多く可処分所得要件が加わっても
弁済額が増えない場合は給与所得者等再生を使った方が
良いということになります。
(給与所得者等再生を申立てし、
もし、それが認められなくても、
(申立の際申述しておけば)小規模個人再生として
扱ってもらうこともできます)


それでも給与所得者等再生の利用が少ないのは、
債権者が再生計画に反対することがあまりない
ため、小規模個人再生の方を選択するからだと思います。


今回、給与所得者等再生を申立てたのは、
債権者の中に信用保証協会や政府系の金融機関があったのと、
子が多く、可処分所得が高くなかったからです。


なお、給与所得者等再生は、
定期的な安定収入を得る見込みがあることが要件ですので、
例えば、会社員になったばかりの人でも一応利用は可能です。
ただ、その疎明はむずかしく、やはり半年ぐらいの収入の実績は
必要になるのではないかと思われます。



民事再生(個人)の申立にはいろいろメリットがあります。


破産であれば処分しなければならない財産
でも、民事再生であれば処分せずに残すことが可能


住宅資金貸付債権に関する特則を使えば
住宅ローンは支払いながら自宅を残すことができる


資格制限がない


破産のような免責不許可事由がない
(免責不許可事由がひどく破産が困難な場合の利用)


破産より事業継続しやすい


(過去、ブログ)
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20090206