司法書士とくの日記(ブログ)

司法書士業務、マラソン、その他

不動産登記オンライン申請

オンラインでの登記申請も大分慣れてきた。
商業登記はほぼ全件オンライン申請。
不動産登記も、担保抹消や相続などはオンライン申請をする。
(添付書類は別送できる)


しかし、
不動産登記で、どうしてもオンライン申請を躊躇する、
もしくは無理と思ってしまうものとして、
融資(住宅ローンなど)がからむ(件数が多くなる)
取引の不動産登記がある。


金融機関に聞くと「オンライン申請してもらってもかまいません」
と言ってくれる。
紙申請とオンライン申請で異なる点は、
融資する金融機関が要求するところの申請時にもらう
「受領証(受理証明書)」と、登記完了後発行される「登記完了証」が
司法書士事務所のパソコンから打ち出したものになる点である。
多くの金融機関がこれでもOKということである。


金融機関がOKと言っても、躊躇する理由は何か。


一番の問題は、時間。


オンライン申請は意外と時間がかかる。
取引の場合、申請件数が多くなる。
名変、担保抹消、移転、担保設定で4件
物件の所有者が異なる場合で、名変が2件以上になったり、
移転が2件以上になったりする場合がある。
また、担保抹消や担保設定が数件になる場合もある。
これらの何件にもなる申請につき、
申請ごとに電子署名するのは非常に時間がかかる。
1件、1件、電子署名しなければならないのである。
これにプラスして、登記原因証明情報をPDF化する時間、
そして、もっとも時間がかかるであろう登記識別情報を提供
しなければならないような申請であれば、
「もう無理!」ということになってしまう。
(登記識別情報の提供は、登記識別情報提供様式を作成して
するので非常に時間がかかるらしい。私はまだ経験なし)


融資がからむ取引の場合、取引当日の申請が要求される。
(登記は早いもの勝ちであるので、金融機関は、
司法書士に取引当日の申請を求めるのである。この実務慣行が
司法書士の寿命を縮めている。)
司法書士は、取引当日は非常に「ばたばた」するので、
申請書の作成を含め、前日までにできることはすべてやっておく。
(前日に申請書は完全に完成させている。登録免許税の印紙は購入済み)
でないと、取引が「昼から」なんていう場合は、取引終了から、
法務局が閉まってしまうまで数時間しかなく、それから申請書を作り・・・
なんてやっていると、とてもじゃないが間に合わないからである。
非常に時間が厳しい取引もある(ぎりぎり間に合うかどうか)。
住宅用家屋証明書を取りに行かなければならない。
抹消書類は取引終了後に担保権者のところへ取りに行かなければ
ならないケースもある。
取引の場から直接法務局へ行き、書類をセットして申請しないと
間に合わない(事務所に戻っている暇はない)。というケース。
とにかく取引当日は大変なのである。
時間のかかるオンライン申請はできないのである。
法務局が近ければ(近い取引が多い)、紙申請の方が迅速に
申請することができる。これは依頼者の要請に合っている。


事前にある程度、オンラインの申請書を作成しておいたとしても、
通常、登記識別情報提供様式の作成、登記原因証明情報のPDF化、
申請への電子署名は当日でないとできない(と思う)。


登録免許税のわずかな減税と、時間の短縮のどちらを取るか。
取引の場合リスクを考えると、時間短縮の方を選ぶことになる。


登記識別情報の提供をもう少し簡便にできるようにしてほしい。
(登記識別情報の提供はあきらめ、本人確認情報でいくか?)
連件でも1つの電子署名でできるようになれば時間短縮できる。
と思う。


いかに早く申請までもっていくか。
今までの紙申請でのノウハウを、
オンライン申請において再構築しなければならない。
(時間短縮につながるオンライン申請のメリットは、
「法務局に行かなくてもよい」「添付書類は後出しでよい」
という点で、この辺をいかにうまく利用するか)


あと、システム障害の生じるリスクや、
PDF化した登記原因証明情報に関しての
補正の可否がある。


融資がらみの不動産登記申請は、金融機関との関係で、
却下や取り下げが許されない。
司法書士ががんじがらめにされている申請なのである。


この金融機関との関係も実は問題だとは思っている。
取引当日の申請が「絶対」という実務慣行は、
依頼者(金融機関)の要請ではあるが、それに司法書士
異常にとらわれすぎている感はある。
補助者時代から、時間が厳しい場合の夕方5時ぎりぎりの申請と、
翌日朝一番の申請でどれほど差があるのか、疑問には思っていた。
確かに、できるだけ早く申請しないと危険という取引もあるが、
そうでない取引もあり、実際は、そうでない取引の方が多いと思われる。
この辺のとらわれ度によっても、オンライン申請をしようと思うかどうか
が異なってくるように思われる。


立会 http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/tatiai.htm
オンライン申請 http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/onlinesinsei.htm