司法書士とくの日記(ブログ)

司法書士業務、マラソン、その他

清算型遺贈(司法書士話題)2

困ったこと。


いわゆる清算型遺贈(換価して金銭で遺贈)で
遺産不動産売却の前提として
遺言執行者が申請人となり、
法定相続人全員へ相続を原因として
所有権移転登記を申請しました。


ところ、
法務局から
「登記識別情報は発行されません」
という電話がかかってきました。
(私が留守の際で補助者の妻が聞きました)


売却については、売り側と買い側で別れ
(別々の司法書士が担当)の取引なので、
売買は相続登記が完了してからということで、
相続と売買の登記は連件では出していません。


月報司法書士などで遺言執行者に
登記識別情報は発行される旨の記事があった
記憶もあり、また、買い側の司法書士とも
当然、発行されるものとして話をしていました。
(私は売り側の司法書士で相続登記を申請しました)


遺言執行者は相続人の法定代理人だから
相続人の登記識別情報は遺言執行者に発行される
でよいと思われ、また、実務的にもそうしてもらわないと
困ります(後日の売買の際、遺言執行者か相続人の
本人確認情報が必要になってきます。
本人確認の相手方は遺言執行者か相続人か
という新たな問題も生じてきます)。


慌てて法務局へ電話をしました。
「それでは資料をFAXしてください。
登記を保留しておきます」となりました。
(電話をしなかったら、
不発行でそのまま登記が完了しているところでした)


結論
いろいろ調べ、資料をFAXしたところ、
「登記識別情報は発行します」となりました。
1、相続人の登記識別情報は申請人の遺言執行者に発行される。
2、法定相続の登記と売買の登記は連件でする必要はない。
3、売買の所有権移転登記の添付書類は次のとおり
・登記原因証明情報(遺言執行者作成)
・登記識別情報(相続登記の際、発行されたもの)
・印鑑証明書(遺言執行者のもの)
・遺言書
・死亡の記載がある戸籍、住所のわかる附票か除票
(これらは前の相続登記で判明するので不要かも)
・住所証明書(買主)
・委任状(義務者の分は遺言執行者の実印押印)
・評価証明書か固定資産税の納税通知書(課税明細書)
(登録免許税算出のため)



資料
法務通信722号(2011年9月号)
登記情報600号110頁
など
清算型遺贈1)
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20150407