司法書士とくの日記(ブログ)

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過払金返還請求権の消滅時効の起算点

過払金返還請求権(不当利得返還請求権)の
消滅時効の起算点は「取引終了時」
と、
最高裁判所の判決(判例)が出て、
この点は決着しているという。


でも、この「取引終了時」というのは
どの時点のことを指すのか。


最終取引日のことを言うのか?
(某消費者金融の担当者などは
はっきり「最終取引日」が消滅時効の起算点だ!
と声を大にして言っていた)


しかし、判例をよく読むと、
「過払金充当合意を含む基本契約に基づく
継続的な金銭消費貸借取引においては、
同取引が終了した時点」
と言っている。


それでは、
この基本契約に基づく継続的金銭消費貸借取引
の終了時とはいつのことを言うのか?
判例は、「基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が
見込まれなくなった時点」と言う。


新たな借入金債務が見込めなくなったときとはいつか?
普通に考えれば、極度額貸付契約の基本契約が終了した
時点ということになると思う。
必ず最終取引日になるという訳ではない(と思う)。


例えば、
平成10年に完済し、その後の取引はない
という場合、
完済後10年経過しているので消滅時効により
過払金返還請求は困難である(と一応言える)。
しかし、その完済時に基本契約が解約されておらず、
基本契約は継続したままで、まだ借入継続が可能であった
という場合は、まだ消滅時効の期間は経過して
いない可能性もある。


この辺の基準がはっきりしない。


カードの失効や契約書の返還手続き(解約手続)
が行われている場合は、
基本契約終了という点でははっきりする。


でも、それ以外の基準
例えば、
完済して、その後、10年以上も取引がなかった事実
があった場合、
その完済時が基本契約終了時と判断されたりする。
のか?
分断か一連かの判断基準を考えると、
そう判断される可能性は高いようにも思われる。
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/itirenkeisankahi.htm


カード契約で年会費を払っているのであれば、
完済していても取引終了とは言えないだろう。
基本契約が続いていることがはっきりしている場合は
完済していても取引終了とは言えないだろう。
それでは、基本契約が続いていたかどうか不明な場合で
完済後、10年取引がない場合はどうか?
借金残があるまま(実は過払い)、10年取引がない場合はどうか?
でも、実際は、完済しても基本契約は継続していたという事案は
多いのではないだろうか。



判例の言う「過払金充当合意」というのがよくわからない。
このような合意は実際はない。
擬制したということであろうか。
実際には存在しない過払金充当合意を法律上の障害とした
ところに判りにくさがある。


過去ブログ
http://d.hatena.ne.jp/tokucyan-siho/20080709