司法書士とくの日記(ブログ)

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メモ(消滅時効と利息など)

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以下、メモ

改正民法(債権法)6 - 司法書士とくの日記(ブログ)

1、消滅時効

民法166条

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する

1 債権者が権利を行使することができることを知ってから5年間行使しないとき

2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき

(改正前の民法は、2項の「できる時から10年」(改正前民法 166条、167条)はありましたが、1項の「知ってから」という主観的なものはありませんでした(不法行為による損害賠償請求権ではありましたが・・・改正前民法 724条))

ただし、施行日(令和2年4月1日)前に生じた債権(施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因となる法律行為が施行日前にされたときを含む。以下同じ。)におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例による(附則10条4項)

実際に改正民法での消滅時効(時効期間)が適用になるのは大分先になります。当面、改正前の民法適用です(施行日前に生じた債権)。

 

個人からの借金の場合(借入債務の消滅時効)は、実質、10年が5年に短縮となっている。

 

2、法定利息

民法404条

貸金の場合は、利息、遅延損害金の定めがなされていること多いので、影響は少ないかと思われます。

(法定利率)
 新民法404条
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
法定利率は、年3パーセントとする

・・・省略

(変動制を採用)

商事法定利率は現行商法514条で年6パーセントとされているところ、同条を削除し、改正民法の法定利率に統一する。

 

逸失利益の計算では法定利率の引き下げにより、(控除される運用益の額が減るので)金額が増加することになります。

 

3、金銭消費貸借

民法587条(この規定は改正前と同じ)

民法587条の2(書面でする消費貸借等)

金銭消費貸借契約は、改正前の民法では金銭を渡して(受け取って)成立するもの(要物契約)とされていましたが、新民法で、お金の受け渡しがなされていない場合でも、書面での合意があれば、合意の時点で金銭消費貸借契約が成立するとしました。

 

参考

当方HPより(民法改正前、昔の過去記事)

一応、上記民法改正の1,2,3に対応(*民法改正等による加筆)

 

1、借入金の消滅時効(メモ)

消滅時効の期間

会社組織の貸金業者から借入れた借金は、5年(商事債権*この規定は廃止 *→新民法で「知ってから5年」に))

個人の貸金業者から借入れた借金は、10年(*→新民法で「知ってから5年」に)

という。

この違いは、お金の貸付業務は商行為ではなく、個人の貸金業者は、商人ではないというところからきている。

お金の貸し借りは、「絶対的商行為」ではなく、また、なぜか「営業的商行為」にも入っておらず、(動産の賃貸には入らないのか?銀行取引?)

個人の貸金業者については、その貸付業務は、商行為ではないということになる。

(この点は、実体にあっていないような気がする)

しかし、会社の場合は、事業としてする行為や事業のためにする行為は、商行為となる。

会社法

「会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする」

自己の名をもって商行為をすることを業とするものを商人としている(商法)ので、会社は当然、商人となり、その商人が営業のためする行為は「附属的商行為」となり、やはり商行為となる。

商法

附属的商行為「商人がその営業のためにする行為は、商行為とする」

ただし、借りる人が商人の場合、例えば、事業者が事業資金のためにお金を借りる場合は、個人の貸金業者からの借入でも、消滅時効は5年になる。どちらか一方が商人で、営業のためであれば、商行為(附属的商行為)となるからである。

(ちなみに、商人の行為は「営業のためにするもの」と推定される)

商法

「当事者の一方のために商行為となる行為については、この法律を双方に適用する」

「商人がその営業のためにする行為は、商行為とする」

「商人の行為は、その営業のためにするものと推定する」

「商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する」

信用金庫、信用組合、(住宅金融公庫など)は商人ではないので(銀行取引をしているのではないのか?)消滅時効は10年だが、やはり、商人が借りた場合(事業者が事業のため借りた)は、5年となる。

信用保証協会は、商人ではないが、その求償債権については、やはり、商人が営業のため保証委託行為をしている場合は、5年という判例がある。

なお、信用保証協会の消滅時効の起算点は、保証協会が免責行為(代位弁済)をした時から、となる。

 

2、貸金債権の利息について(関係法令)(メモ)

民法

利息が生じる債権について、利率の約定がない場合、利率は年5分。民法404条。

(商人間でのお金の貸し借りの場合は、当然法定利息を請求することができますが、商人でない個人間、又は一方が商人でない場合は、利息の約束をしないと利息は取れません。利息の約束をしてはじめて利息が取れ、それにつき、利率を定めていない場合、法定利率が適用されます)

商事法定利率 年6分(商行為によりて生じたる債務)。商法514条。(*廃止)

金銭債務の不履行、損害賠償の額は、法定利率による。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは約定利率による。

不当利得、悪意の受益者は、その受けたる利益に利息を附して返還しなければならない。損害あるときはその賠償の責めに任す。

(*→新民法 法定利率は当面、年3%)

 

「利息制限法」

金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が以下の利率より計算した額を超えるとき、その超過部分につき「無効」とする。

元本10万円未満 ・ 利息 年20% ・ 損害金 年29・2%(制限利息の1・46倍)

元本10万円以上100万円未満 ・ 利息 年18% ・ 損害金 年26・28%

元本100万円以上 ・ 利息 年15% ・ 損害金 年21・9%

(損害金につき、平成1261日より)

これを超えるものは無効。例えば、裁判所への訴えで、利息制限法を超える利息分の請求をしても、その部分の請求については、棄却される。また、利息制限法超過の利息で抵当権設定登記をしようと思っても、登記は受付けられず、利息制限法制限内に利息を引き直して登記することになる。

最高裁判決は、利息制限法制限超過利息の元本への充当を認め、さらに、利息制限法所定の制限を越える金銭消費貸借上の利息・損害金を任意に支払った債務者は、制限超過部分の充当により計算上元本が完済になったときは、その後に債務の不存在を知らないで支払った金額を不当利得として返還請求できる(最高裁判決)。とする。

したがって、利息制限法第12項の規定は、実質意味がなくなっている。

*改正利息制限法(平成22年6月18日施行)貸金業者の貸付金の損害金の上限は、年20%に

 

「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(いわゆる出資法

金銭の貸付を行う者が業としてする場合、年利29・2%超える場合(229日を含む1年については、年29・28%、1日あたりについては0・08%の場合)、刑事罰あり。(平成1261日より。以前40・004%)

ただし、日賦貸金業者・電話担保金融・質屋については、特例あり。日賦貸金業者、年54・75%超える場合、刑事罰あり(平成1311日より)。

業としてでない場合、年利109・5%を超える場合、罰則あり。

業としてする場合の上限金利は次のとおり法改正により引き下げられてきました。

昭和29年(1954年)~、109・5%

昭和58年(1983年)11月1日~、73%

昭和61年(1986年)11月1日~、54・75%

平成3年(1991年)11月1日~、40・004%

平成12年(2000年)6月1日~、29・2%

*平成22年(2010年)6月18日~、20%

*日賦貸金業者・電話担保金融の特例については廃止(質屋については質屋営業法)

 

貸金業の規制等に関する法律」(貸金業法)第43条 *現在は廃止

利息制限法超過利息の金銭の支払が一定の要件を満たせば、有効となる。利息制限法超過利息の契約自体は、超過部分については無効という点はかわらないが、その無効となった利息の「支払い」を、例外的に、一定の厳格な要件のもと、元本に充当されないこととし、有効な利息の債務の弁済とみなした。

要件(すべてを満たすことが必要)

1、債権者が貸金業登録業者であること。

2、契約の際、貸金業法17条の要件を満たす書面を交付していること。

3、弁済の際、貸金業法18条の要件を満たす受取証書を「直ちに」交付していること。

4、債務者が約定金利による利息を利息としての認識で支払ったこと。

5、債務者が約定金利による利息を「任意に」履行したこと。

(この要件については、裁判所は厳格に解すべきとしており、裁判所でこの要件を満たしているとして認められる例はきわめて希である)

最高裁判決で、契約に期限の利益喪失約款がある場合、事実上強制を受けるので任意性なしとされた。

例えば、貸金業者から50万円の借入で、

利息 年18%(利息制限法の制限利率)を超え、年29・2%まで(出資法の罰則ぎりぎり)の利率の範囲をグレーゾーンといい、本来、支払う必要のない利息だが、上記、貸金業法の厳しい要件を満たせば、有効となる利率範囲。

多くの消費者金融やカード会社がこのクレーゾーンの金利で営業している。

上記要件を満たしていない場合、利息制限法所定の制限金利で引き直し計算したところ、支払すぎている額(過払い額)があれば、その額につき、貸金業者でない一般消費者等(知らずに支払った者)は、貸金業者に対して、不当利得として、返還請求することができる。*現在は、出資法刑事罰)の上限金利が、平成22年(2010年)6月18日~、20%になりましたので、グレーゾーン金利はありません(なお、利息制限法所定の金利を超え、20%以内の場合は、出資法違反にはなりませんが、登録取消または業務停止などの行政処分の対象となります)

 

損害金(遅延損害金)について

特定調停(もしくは任意整理)では以下のような合意になるケースが多い。

2回分以上怠り、その金額が○○○円(2回分)に達したときは、期限の利益を失う。

借受金につき 年18%

(もしくは利息制限法の上限。元本10万円未満、損害金 年29・2%(制限利息の1・46倍)。元本10万円以上100万円未満、損害金 年26・28%。元本100万円以上、損害金 年21・9%)*現在は年20%を超えることはない

立替金(1・2回払い・リボルビング)につき 14・6%(消費者契約法

立替金(割賦購入)につき 6%(割賦販売法)

借受金の保証委託契約に基づく代位弁済後の求償債権につき 14・6%(消費者契約法

 

3、利息契約に基づく利息請求権の要件事実

金銭消費貸借契約の成立

1、金銭返還の約束

2、金銭の交付(貸し渡した・貸し付けた)(*→新民法 書面による合意でもOK)

3、弁済期の合意

利息契約

4、利息支払の合意(商人間の場合、当然利息発生)

5、一定期間の経過

利率については、利息の合意はしたが、利率の約束がない場合、法定利率による。

民事債権の場合、年5(*→新民法 法定利率は当面、年3%)

商事債権の場合、年6(*→新民法 法定利率は当面、年3%)