司法書士とくの日記(ブログ)

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半血兄弟、無血兄弟?の法定相続分

司法書士会の研修に触発されて

仮に次の事例を設定して考えてみた

被相続人

配偶者、子はおらず、直系尊属はすでに死亡しているため、

Aの相続人は兄弟姉妹

 

父母の子は、長男Bと(被相続人である)二男A

被相続人である二男Aは、幼い頃、甲(養父)の養子となる

 

甲は、実子がなく、AとCを養子としていた

Aは幼い頃に甲の養子となり、甲宅で、甲Cと長年暮らしていた

 

Aが死亡

Aの相続人は、両親(実父母)を同じくする兄のBと、

養父を同じくするC(弟)

の二人

 

被相続人Aの相続につき

BとCの法定相続分はどうなるか?

 

民法900条の4号の前段でいけば平等となり2分の1ずつ

もし、但し書き(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする)が適用されれば、Bは3分の2、Cは3分の1になる

条文を文言どおりに解釈すれば、

この事例は当てはまらないので、平等で2分の1ずつとなる

(条文の父母は被相続人の父母と読むことができ、被相続人AからみてCとは養親は甲のみで「(被相続人の)父母の一方のみ」には当てはまらないし、Bからみても両親と養親は全く異なるので当てはまらない)

もし、両親を同じくする(全血兄弟)、しない(一方のみを同じくする)の半血兄弟でも差があるのだから、

この事例は両親をまったく同じにしないのだから、差があるのは当然と解釈できれば(実父母からと養親との差、血のつながりを重視)、

Bは3分の2、Cは3分の1になる

 

血のつながりがないとはいっても、法律上、養子は実子と同じであり、

被相続人Aからみて、Cは養親が同じの養子同士である

Cは同じ養親で(法律上)半血ではない(一方のみを同じくするにあたらない)

半血ではなく全血と同じの無血兄弟

「Aは幼い頃に甲の養子となり、甲宅で、甲Cと長年暮らしていた」という事例からも、

差をつける合理性はまったくないので、

平等の2分の1ずつが正解と思われる

 

なお、民法900条4号の但し書きが適用される典型的なケース

半血兄弟が相続人となるケース

例えば、

父母が結婚、その間に子ABが誕生

その後、母が死亡し、父が再婚した場合

再婚相手との間の子Cが誕生

Aが死亡、被相続人Aの相続人が兄弟姉妹のBとCになる場合

Bは被相続人Aとの関係で両親を同じくするが、

Cは一方(父)のみ同じくする(異母兄弟)

Aは父の再婚相手とは関係がない

この場合の法定相続分は、但し書きどおりで、Bは3分の2、Cは3分の1になる

それでは、Aが父の再婚相手と養子縁組していた場合はどうか?

Cは、その父母と、Aの父と養母を同じくするから「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹」にはあたらず、平等ということになるか

また、例えば、父母の一人、母が亡くなり、その後、残った父がCと養子縁組をした場合については、A(被相続人)との関係ではBは父母を同じくするが、Cは養父のみが同じで一方のみを同じくするにあたるので(なおCの実父母については別にいる)、兄弟姉妹相続で、Bは3分の2、Cは3分の1になる(父の再婚相手との間の子の場合と同じ)

上記の最初の事例とは異なる(最初の事例はAとCは同じ養親で同じ養子の立場)

 

第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
 
これ(最初の事例)を嫁さんに話してみると、
AとC(養子同士)が兄弟になるところに驚いていました・・・