司法書士とくの日記(ブログ)

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再転相続と放棄って、めっちゃくっちゃ、ややこしいわ2

私が保佐人になっている方が入所している施設から、

「職員の夫がコロナの陽性が出たので、現在施設では完全面会禁止にし様子を見ています」という電話がありました。高齢者施設は面会につき一時緩和されましたが、また、(原則)面会禁止になっています。高齢者施設では感染者が出ると大変なことになるので、すごく神経質に厳しくなっています(職員等の方は大変です)。

今年は、コロナのこともあり、帰省するのはやめました。

 

さて、再転相続について(追加)さらに混迷

 

例1

こんなのはちょっと・・・(相続) - 司法書士とくの日記(ブログ)

このブログの例

不動産の登記名義人である

被相続人 Aさん(20年以上前に死亡)

不動産は田舎にあるご自宅で、

(妻のBさん管理のもと)

妻のBさんが住んでいましたが、

このBさんも最近平成31年に死亡

(不動産の登記名義はAさんのままになっている)

このAさんと妻Bさんの間には子がなく、

(遺言もなく)兄弟姉妹が相続人になるケース。

今般、

この(亡)妻Bさんの相続人であるBさんの兄弟姉妹が全員相続放棄をして、

Aさんの相続人であるAさんの兄弟姉妹の一人に

相続放棄をしたから、この不動産の管理等はそちらにまかせる」

という通知をしてきました。

田舎の不動産で土地の地積は広くなく、家は(空家になっていますが)古くごみ屋敷状態、価値は高くありません(売却するとして買手がつくかどうか不明、売却できたとしても100万円未満か?)。

妻Bさんの兄弟姉妹が管理するのが負担なので全員相続放棄をして、Aさんの兄弟姉妹に押し付けてきた感じです。

その押し付けられたAさんの兄弟姉妹の一人から、

相続登記をして、できれば売却したいという相談。・・・

・・・ 

 

そして、(亡)妻Bさんですが、

相談者の方(不動産を押し付けられたAさんの兄弟姉妹の一人)は

Bさんの相続人全員が相続放棄をしており、相続人がいないので、この妻Bさんは無視して(Aさんの兄弟姉妹関係だけで)相続登記の手続きはできると思っておられます。

・・・しかし、そうではありません。

この妻Bさんについて、「相続人不存在」ということであれば、

家庭裁判所で、このBさんについて「相続財産管理人」の選任が必要になります。

以上

 

このケースで、もし妻Bさんが、夫Aの相続について承認も放棄をしない間に亡くなっている場合は再転相続として、Bさんの相続人である兄弟姉妹が、A→Bの相続について、承認、放棄をすることが考えられます。このケースではすでにBの相続について相続放棄をしていますので、Aの相続(A→B)については、放棄はできませんが、もし、Bの相続について(先に)放棄はしておらず、Bの相続人であるBの兄弟姉妹が、Aの相続(A→B)について相続放棄をした場合は、A名義の不動産について、Bの「相続人不存在」の状況は防げたかもしれません(承継説?Aの兄弟姉妹(甥姪)だけで遺産分割ができていた)。ただ、このケースはBがAの相続につき承認をしていた可能性が高いし、A死亡後20年も経っているので、Bの相続人がA→Bの相続の放棄をするなんて発想はなかなか出てこないとは思いますが・・・。

 

例2

被相続人Aが死亡

Aの相続人は、

妻Bと、前妻(X)の子C

(なお、Xは存命)

 

その後、Cが(Aの相続につき承認、放棄をしない間に)死亡

Cの相続人は、(Cの)妻Dと子E

 

このケースで、Cの相続人であるDとEが、

再転相続人として、A→Cの相続を放棄(家庭裁判所へ申述)した場合、

Aの相続人は誰になるでしょうか?

(DEはCの相続については放棄はしていない)

 

次の2つの考え方があります。

1、子のCが相続放棄をしたものとして(DEはCの相続放棄をする権利を承継しており、その権利を行使した。承継説)、Aの兄弟姉妹が出てくる。

Aの相続人は、(子がなく直系尊属もなく)妻BとAの兄弟姉妹となる。

 

2、再転相続人DEの、A→Cの相続放棄は、あくまでもDEの立場で固有の権利としてしただけで(固有説)、Cが相続放棄をしたのと同視はできず(他に影響は及ばず)、Aの相続人は、妻BとCの母であるX(Aの前妻)となる。

EがCの相続について放棄をした場合は、Cの相続人としてX(母)は出てくるが、この場合は、Aの相続人として、離婚した前妻が出てくる!

 

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