司法書士とくの日記(ブログ)

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破産書類の作成

破産申立てする際には、
借金に至った経緯、その使途、返済できなくなった事情など
を詳しく記載した書面を提出しなければならない。


一応、それらを依頼者に書いてきてもらうようにしているが、
多くが、思い出せない、書けない、と言う。
また、書けても、本当にわずかな箇条書き
「生活費が足りずに借りました」になっている
場合がある。


生活費が足りないというのであれば、
その時の生活状態(職業、収入、同居者、生活費)
がどうであったか、どれぐらい足りなかったのか、
特別な事情(転職、病気、転居、子供の誕生、就学など)
があったのかどうかなどが問題となる。


そこで、こちらからいろいろな質問をし、
依頼者から聞き出さなければならない。


まず、外堀を埋めるように、職歴を詳しく聞きだす
(あらかじめ書いておいてもらうようにするが、
それすらできない人がいる)。
その時々の職業、勤務先、収入など。
転職した場合は、その理由や退職金があったのかどうか。
日付があいまいな場合があるが、その場合は、
新しいところから順を追って遡り、何年ぐらい勤務したか
を聞き出し、おおよその年を判断する。
また、あまりにも不明な場合は、社会保険の記録を
取り寄せてもらう場合もある(社会保険事務所での
年金の被保険者記録照会回答票)。


それから、その時々の住所を聞きだす。
転居している場合は、その理由など。
家賃負担はどうであったか。


そして、家族構成。その時々の同居者。
いつ結婚し、いつ子供ができ、その時々に
だれと住んでいたか。いつ離婚をし、いつ再婚したか。
両親と同居していたけれど、別居した、それはいつか。
同居者の収入、家計負担。
など。


などなどの情報を聞き出し、
それを借金状況と照らし合わせるのである。
現在は、借金の取引履歴を取得することができ、
いつどれぐらい借り、どれぐらい返済していたかが分かるので、
依頼者の生活状況と、借入状況を照らし合わすことによって、
借金の原因がはっきりする。
また、生活費が足りない訳ではないのに、多額の借金をしている
場合は、なにか他に原因があるはずだ。ということで、
依頼者に聞く。
その時々の返済額も分かるので、返済のための借入をしたのだな、
ということも判明する。
提出してもらった書類、預貯金の通帳も精査する。


そして、ワープロで、それらの情報を時系列で箇条書きをする。
借金の借入額、返済額も記載する。
そうすると全体像がある程度つかめるようになる。
それを少しずつ文書にしていくのである。
さらに不明な点は、依頼者から聞き出し、加筆・訂正していく。
借金に関係するところは詳しく、
関係のないところは省いたり、簡潔にしたりする。
できるだけ分かりやすく読みやすい文章に仕上げる。
最後に、依頼者に誤りがないかどうか見てもらう。


ここまでたどり着くのには、依頼者との長時間の面談と時間が必要となる。


完成した破産書類は、借金の事情が、わかりやすく普通の文書で
記載されており、それを見ただけでは、わからないだろうと
思われるが、完成にいたるプロセスは、依頼者によっては、
長い長い道のりなのである。
(書類が完成すると、精も根も尽き果てるような状態になることがある)
あせらず、いらいらせず、職人のようにたんたんとするのがこつ。