会社経営をされている方から、
「裁判所から10万円支払えという通知がきました。
振り込め詐欺でしょうか?」
という問合せ。
よく話を聞いてみると、
会社の登記懈怠での過料であった。
この会社。
本店とは別の法務局管内に支店の登記がある。
本店移転し、本店所在場所の法務局へは
本店移転登記をしたが、
その支店場所の法務局への登記を
忘れており、
4年ぐらい経過した後、その登記をしたようだ。
本人で申請されている場合、
支店場所の法務局への登記を忘れている
というのはよくあると思われる。
4年で10万円か・・・
支店のある会社は要注意。
でも、会社法になってからは、
支店での登記は、
商号
本店
支店の所在場所
(会社成立の年月日、
支店番号、支店設置の年月日または設立)
になったので、ケースとしては少なくなっただろう。
また、法務局の統合で、さらに少なくなるだろう。
追
解散登記は、支店所在地の法務局へは申請不要。
清算結了の登記は必要。
会社法932条で解散の登記は除かれている。
(余談)
会社法になる前の昔話
「本店移転登記をしたら、会社が旧体制に後退?」
会社の支店での機能・業績が良く、会社の本店をその支店所在地へ移転した。
そして、その本店移転登記が完了し、会社の登記簿謄本を取得してみると・・・
なんと、会社の登記事項がすべて昔の古いものになっているというのである。
目的は旧のものになっており、旧役員が復活し!?、
資本金は昔の減少した資本金、
社長はビックリして「こんな誤った登記をされている!」と法務局へ怒鳴り込んだ・・・
・・・しかし、誤っていたのは社長の方であった。
この会社は、本店とは管轄が異なる他管轄に支店登記のある会社で、
本店の法務局には、役員変更登記、目的変更登記、増資登記をきちんと行ってきた。
しかし、他管轄に支店登記があったにもかかわらず、支店の法務局には登記申請するのを失念していたのである。
支店の管轄法務局にも本店と同様の会社の登記簿は備えられており、
本店の法務局で登記をした後、必ず支店の法務局にも登記申請が必要となっている。
そうしないと支店での登記簿は変わらないのである。
支店での登記を失念していたこの会社の支店での登記簿は「設立時のまま」であった。
そして、この会社が支店の所在地に本店を移転したのである。
本店移転登記後の登記簿は「その支店での登記簿がそのまま利用」される。
本店移転登記後の登記簿が旧の設立時のものになっているのも当然であった。
登記は司法書士等に依頼せず、すべて本人で行っており、支店での登記を失念していた事例。
平成18年5月、(新)会社法が施行される予定だが、この支店での登記が簡略化される。
(新)会社法のもとであれば、上記のようなことは生じなかった。