司法書士とくの日記(ブログ)

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役員の任期(事業協同組合とNPO法人の一例)

定款の規定の仕方によって役員の任期が変わってくる。

ややこしい・・・

事業協同組合

理事の任期

定款例

「2年又は任期中の第2回目の通常総会終結時までのいずれか短い期間。ただし、就任後第2回目の通常総会が2年を過ぎて開催される場合にはその総会の終結時まで任期を伸長する。」

原則

2年

第2回目の通常総会終結

いずれか短い期間

例外 就任後第2回目の通常総会が2年を過ぎて開催される場合にはその総会の終結時まで

 

例 理事A(代表理事でもある)は令和2年5月25日就任(総会での選挙で総会終結時に就任している)

令和4年5月28日に通常総会を開催して理事Aを改選(選挙で再任)した場合

2年の任期は、令和4年5月25日の24時で任期満了(1日の途中から就任している場合、初日不算入で応当日が26日、その前日の終わりに任期満了)

2回目通常総会が、2年を過ぎて開催されているので、令和4年5月28日就任・重任

なお、理事Aはその日の理事会で代表理事に再任(登記は、代表理事A、令和4年5月28日重任)

 

例 理事A(代表理事でもある)は令和2年5月30日就任(総会での選挙で総会終結時に就任している)

令和4年5月28日に通常総会を開催して理事Aを改選(選挙で再任)した場合

2年の任期は、令和4年5月30日の24時で任期満了

総会の方が短いので、令和4年5月28日就任・重任

 

いずれにせよ総会で重任

 
中小企業等協同組合法(役員の任期)
第36条 理事の任期は、2年以内において定款で定める期間とする。
 監事の任期は、4年以内において定款で定める期間とする。
 設立当時の役員の任期は、前二項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、1年を超えてはならない。
 前三項の規定は、定款によつて、前三項の任期を任期中の最終の決算期に関する通常総会終結の時まで伸長することを妨げない。
 前三項の規定にかかわらず、監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、監事の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。

 

特定非営利活動法人NPO法人)>

定款例

「役員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。

前項の規定にかかわらず、後任の役員が選任されていない場合には、任期の末日後最初の総会が終結するまでその任期を伸長する。」

原則2年

例外 後任の役員が選任されていない場合には、任期の末日後最初の総会が終結するまでその任期を伸長 

 

例 理事Aは令和2年5月25日就任(総会で)している。

令和4年5月28日に通常総会を開催して理事Aを改選(再任)した場合

2年の任期は、令和4年5月25日の24時で任期満了(初日不算入で応当日が26日、その前日の終わりに任期満了)

後任が選任されていないので、任期末日後最初の総会である令和4年5月28日就任・重任

なお、理事Aは代表権のある理事長で、その日の理事の互選により理事長に再任(登記は、理事A、令和4年5月28日重任)

 

例 理事Aは令和2年5月30日就任(総会で)している。

令和4年5月28日に通常総会を開催して理事Aを改選(再任)した場合

2年の任期は、令和4年5月30日の24時で任期満了

この場合は、前の事業協同組合の例と異なり、(あらかじめ)後任の役員が選任されているので、この選任は予選となり、あくまで任期は2年の令和4年5月30日の24時で任期満了となる。

令和4年5月30日退任(24時で)、5月31日就任(0時で)→5月31日重任で登記可(5月31日は1日の初めからなので、次回の役員改選の際は初日参入で計算)

 

「後任の役員が選任されていない場合」には、任期の末日後最初の総会が終結するまでその任期を伸長する。→逆にいえば、予選で、後任の役員が選任されている場合は、原則どおり、任期は2年と考えられる。

前の事業協同組合の例と異なり、令和4年5月28日の通常総会で任期満了となるのではない。

これを前の事業協同組合の例と同じにするには、例えば

「・・・前項の規定にかかわらず、任期満了前に就任後2回目の事業年度が終了した後の総会において後任の役員が選任された場合には当該総会が終結するまでを任期とし、任期満了後、後任の役員が選任されていない場合には、任期の末日後最初の総会が終結するまでその任期を伸長する。」と規定する必要がある。

特定非営利活動促進法(役員の任期)

第24条 役員の任期は、2年以内において定款で定める期間とする。ただし、再任を妨げない。
2 前項の規定にかかわらず、定款で役員を社員総会で選任することとしている特定非営利活動法人にあっては、定款により、後任の役員が選任されていない場合に限り、同項の規定により定款で定められた任期の末日後最初の社員総会が終結するまでその任期を伸長することができる。

 

やっぱり任期はややこしい(特定非営利活動法人) - 司法書士とくの日記(ブログ)

特定非営利活動法人(NPO法人)の理事長の変更 - 司法書士とくの日記(ブログ)

 

役員変更登記で、株式会社の場合は、総会議事録に「(定款の規定により)本定時株主総会終結をもって任期満了し退任することになる」の記載により定款の添付が不要になったりしますが、NPO法人事業協同組合などの法人は、任期確認等のため「定款」の添付を要求される場合が多いです。