司法書士とくの日記(ブログ)

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囁き声

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後見業務をする中で、

ご本人が(必要な)援助・支援を拒否されているケースがあります。

客観的にみて、

介護サービスが必要なのではないか、

また、

介護サービスが必要かどうかの判断ができるところまで、

介入させてもらえない、

場合もあります。

 

(ご本人に能力があって、自らの判断で、あえてそうしている場合は、別ですが、高齢で認知の衰えからそうなっている場合があります)

ご本人は「自分でできている」と思っておられても、

まったくできていないケース(部屋がごみ?と思われるもので埋まっている。何年もお風呂に入っていない、食事がきちんとできていない、など)、

自宅に他人が入るのが嫌な人・・・

いろいろ

 

大家さん、ご近所、親族などからの要請により、

権利擁護支援センター、

市の生活支援課や高齢福祉課、地域包括支援センターが介入、

ご本人を訪問、(できる範囲で)面談、事実関係を把握し、

少しずつ関係をつくり、(支援体制をつくって)必要なサービスにつなげていくことがなされています。

 

(支払い等ができなくなっている、など、財産管理ができない方については)

成年後見人が就くと、(支払い等含む)財産関係の問題はある程度、解決します。

身上監護の点は、ご本人の拒否の程度により、すぐには解決できない場合があります。

 

以前、あったケースで、

ご自宅に他人が訪問するのを快く思われない方で、

訪問をしても(部屋には居るが)なかなか出てきてもらえない方がいました。

認知症で、主に、通帳カードを紛失、銀行での手続ができない、家賃の支払ができない、財産管理が困難な方。食事、入浴等の生活については、どこまでできているか不明)

最初、市の生活支援課が関わり、

当方も、成年後見人として関わるようになりましたが、

訪問をする際、いつも

ドアをノック・・・(無視される)

比較的、大きな声で「〇〇さん、〇〇さん」と呼ぶ(無視される)

これを何度か繰り返す。

窓から覗くと、ご本人がうろうろされているのが目に入り、

さらに声をかけると、やっと、ドアを開けてもらえます。

 

その時の、市の生活支援課の担当者の方は、(明るく)元気のある方で、訪問の際、大きな声で呼びかけていました。

訪問の際は、このような感じで対応していましたので、

最初、当方が2週間に1回お金を届けるようになった時も、同じようにしていました。

 

しかし、何度か、大きな声で呼びかけて、やっと出てきてもらえるというのは、

近所のこともあるし、あまり望ましいものではありません。

また、ご本人は耳が悪い訳ではないので、大きな声を出す必要はありません。

 

そこで、ドアをノックした後、ドアのところにくっついて、(ひそひそに近い)小さな声で

「〇〇さん、こんにちは。司法書士の〇〇です。必要なお金を持ってきました」と言ってみました。

 

・・・すると、1回で、ドアを開けてくれました。

 

大きな声で呼ばれるのが、怖かったのか、嫌だったのか(あまり、話をしてくれない方なので、よくわかりませんでしたが)、ささやくように声かけをすると、比較的、対応してもらえることが判りました。

 

すこし古いものですが、精神科医の方が書かれた次の書籍の中に「意外に効く囁き声」というのがあって、それが記憶に残っていたので、やってみた結果、(この時はこれで)うまくいきました。

 

もちろん、ケースバイケースになりますが・・・

 

「病んだ家族、散乱した室内(援助者にとって不全感と困惑について)」春日武彦

認知症を痴呆といい、統合失調症精神分裂病といっていた頃のものですが、援助者のために、とてもわかりやすく、記述されています。

 

介護支援専門員(ケアマネージャー) - 司法書士とくの日記(ブログ)